ニシアフリカトカゲモドキにはじめて給餌をする際、ショップで食べていた餌と同じものをあげているのになぜか食べてくれないということがあるかもしれません。私も最初にお迎えしたニシアフがなかなか餌を食べてくれなくて焦った経験があります。今回はニシアフへの給餌方法とポイントについてご紹介します。(※注意:この記事にはコオロギの写真が含まれます)
1.はじめての給餌で気をつけること
ニシアフをお迎えした際、すぐに餌やりをしたい気持ちはとてもよくわかります。しかし、お迎え直後のニシアフはショップから自宅までの移動でストレスを感じているため、すぐに餌をあげるのは控えるようにし、少なくとも1日は給餌や不必要なハンドリングをせずにそっとしておくようにしましょう。
次に最初の給餌では、ショップで食べていた餌と同じものをあげましょう。お迎えしたニシアフが環境になれるまではその子が食べられることがわかっている餌をあげるようにします。
2.活餌、冷凍コオロギをあげるときの注意点
①カルシウムパウダーの添加
人工フードの場合はバランスの良い栄養に調整されていることが多く、カルシウムの添加が必要ない場合が多いですが、活餌や冷凍コオロギの場合はそのまま与えるとカルシウムが不足し「代謝性骨疾患(クル病)」という病気になる可能性が高くなります。そのため昆虫を与える場合には爬虫類用のカルシウムパウダーをかけてから給餌しましょう。ビタミンD3はカルシウムの吸収を助けるものであり、野生のニシアフは紫外線を浴びることで体内で合成していますが、飼育環境下においては体内で合成することが難しいことが多く、ビタミンD3入のカルシウムを虫餌に添加することで補うことが多いです。一方でビタミンD3の摂取が多すぎる場合、過剰症を引き起こす可能性があるため、虫餌のみの給餌で飼育する場合でもビタミンD3の添加は月に1、2回のみ行うのが一般的です。なお、人工フードも与えている場合はビタミン類が含まれていることが多いため、人工フードの給餌頻度によっては、虫餌へのビタミンD3の添加は必要ないと思いますので、人工フードの成分表を確認しておくことをおすすめします。
②ピンセット給餌のポイント
床材の誤飲や生体が噛まれるリスクが低く、食事量の管理ができるため、個人的にはピンセットでの給餌をおすすめします。ピンセットで給餌する際のポイントは以下のとおりです。
1️⃣活餌、冷凍コオロギを与える場合は、ニシアフが飲み込みやすいよう餌の後ろ側をピンセットで掴んで頭から与えます。使用するピンセットはニシアフが怪我をしないものを選びましょう。給餌におすすめのピンセットについてはこちらの記事で紹介しています。
2️⃣活餌のうち、顎の力が強い虫を与える場合は頭を潰してから与えます。またコオロギの場合は、足にトゲがあり、力も強く、ニシアフが内蔵等を負傷するリスクがあるため、一番太い後ろ足は取ってから与えるといいと思います。コオロギの足はピンセットで足の付け根近くを強く掴むと簡単に取ることができます。足を取る際のピンセットは先の細い金属製のものを使用すると掴みやすいです(写真のピンセットは100均で購入したものです)。活餌を嫌がる場合は、そもそもその種類の虫が嫌いということや、抵抗した虫に噛まれたり、触覚が口に当たるのが嫌で食べないとか、添加しているカルシウムが嫌いなど、様々な理由が考えられますので、別なものを試すなどの改善をする必要があります。
3️⃣冷凍コオロギの場合、ニシアフによっては動かないため餌と認識してくれないことがあります。その場合はピンセットで持ち上げた餌を左右に動かすなどして、飼い主が餌を生きているように見せかける工夫をしてあげる必要があります。慣れていないうちはどのように動かせば食べてくれるかわからないかもしれませんが、私が飼育しているニシアフは、「餌の向きは変えずに餌ごと平行に左右にゆっくり動かす」、「餌の後ろは同じ位置で頭のみ45度程度左右にゆっくり動かす」、「たまにバックさせて餌が逃げるような動作をする」、「プレートを敷いてその上で餌を転がしたり、地面を這うようにゆっくり動かす」という動作をすると食べてくれます。それでも食いつきが悪い場合は頭を潰したり、頭を取って胴体を口元に持っていって舐めさせると食欲のスイッチが入ることがあります。また、シェルターの中でなら食べるということもありますので、シェルターの入口から少しだけ餌を中に入れて左右にゆっくり動かしてみてもいいと思います。
③バラマキ給餌の注意点
基本的にはピンセットでの給餌をおすすめしますが、ピンセットでの給餌に慣れていない等の理由でピンセットからは食べてくれない場合もあります。そのようなときはケージ内にコオロギ等の活餌を入れてニシアフに自分で捕食してもらう方法もありますが、以下の点に注意する必要があります。
1️⃣大きすぎてニシアフが怖がって食べなかったり、ニシアフが逆に噛まれてしまうことがあるため、飼育しているニシアフにあったサイズの餌を選びましょう。
2️⃣床材誤飲のリスクやレイアウトによってはニシアフが入れない隙間に餌が逃げ込み捕食しにくい場合もあるため、この方法で給餌する際はペットシーツやキッチンペーパーなどの誤飲のリスクが少ないものを使用したり、活餌が逃げられない餌皿に入れるなどの工夫をするようにしましょう。また活餌が水皿に入って溺れることがありますが、放置すると飲み水が汚染されてしまうため、すぐに取り除くようにしてください。
スドー「レプタイルディッシュS」
サイズ:直径7cm、高さ2cm
参考価格:300 円〜400円程度
3️⃣ニシアフの中には捕食が下手な子もいるため、ケージ内に餌をばら撒くときは何匹入れたのか、そのうち何匹食べられたのかを必ず確認して、日々の食事量を把握しましょう。また捕食できていない場合は動きが遅い種類の餌にしたり、コオロギの場合は後ろ足を取るなどの工夫をしましょう。
3.人工フードをあげるときの注意点
①使用方法を守る
人工フードの種類は多く、水で数分ふやかしてから与えるものや、カルシウムパウダーの添加が必要なものなど、種類によって与え方が異なります。必ずパッケージの使用方法を見てから与えるようにしましょう。
②誤飲防止
人工フードは水分を含むため、一度ソイルに落としてしまうと、人工フードにソイルがついてしまうことが多く、誤飲につながりやすいです。そのため、人工フードを与える場合には、ニシアフが途中で噛み切ってしまったりしても大丈夫なように下に平らな皿を置いてからその上で与えるなどの工夫すると良いと思います。また万が一床材に落ちてしまった場合は、ニシアフが食べてしまう前に回りのソイルごと人工フードを回収するようにしましょう。
※写真は下にプレートがある状態での給餌例です。使用している商品は「aiSUru Plate」です。
aiSUru「aiSUru Plate」
サイズ:両脇縦14.5cm×横9.5cm
参考価格:2,400円〜3,100円程度
③人工フードの給餌のポイント
動いていないと餌と認識しないニシアフもいるため、ピンセットで持ち上げた餌を左右に動かすなどして、飼い主が餌を生きているように見せかける工夫をしてあげる必要があります。私が飼育しているニシアフは、「餌の向きは変えずに餌ごと平行に左右にゆっくり動かす」、「餌の後ろは同じ位置で頭のみ45度程度左右にゆっくり動かす」、「たまにバックさせて餌が逃げるような動作をする」、「プレートを敷いてその上で餌を転がしたり、地面を這うようにゆっくり動かす」という動作をすると食べてくれることが多いので、試してみてください。それでも食べない場合は口元に少しつけて舐めてもらい、餌と認識してもらうなどの方法もあります。それでも食べない場合は、その人工フードが飼育しているニシアフの好みでない可能性がありますので、他の原材料の人工フードを試してみましょう。なお、日を改めたり、成長すると以前食べなかった餌を食べるようになることもあるため、期間をあけて何度か試すといいと思います。おすすめの人工フードはこちらの記事で紹介しています。
4.まとめ
ニシアフの給餌についてはカルシウムの添加や誤飲防止などの基本を守りつつ、可能な限り食事量が管理できるピンセットでの給餌を行いましょう。ピンセットでの給餌ができるようになれば、人工フードにも挑戦しやすくなりますので、食べることのできる餌の種類が増え、特定の餌に飽きてしまったときに対策が取りやすいと思います。活餌以外食べてくれないときは、餌の種類を変えたり、動かし方を変えることで食べてくれることもありますので、上記の動作も参考にしてみてください。
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