ニシアフリカトカゲモドキの遺伝【初心者向け!モルフの計算方法を徹底解説】

飼育日誌

たくさんのモルフがあることはニシアフの魅力の一つです。モルフは遺伝するものであり、子のモルフは親のモルフによって決定するため、両親がノーマルである場合にオレオの子どもが生まれることはありません。自分のニシアフを繁殖させた場合に、どのようなモルフの子がどのような割合で生まれるのかということを考える上で、遺伝の知識が必要になります。今回はモルフの計算方法の基礎についてご紹介したいと思います。

ニシアフにおける共優性遺伝・劣性遺伝について

 ニシアフのモルフのうち「ホワイトアウト」は共優性遺伝であり「ホワイトアウトのニシアフ」と「ホワイトアウトでないニシアフ」をかけ合わせたときに1/2の確率でホワイトアウトが生まれます。一方で、色合いに関する遺伝である「オレオ」、「キャラメル(キャラメルアルビノ)」、「アメル」、「ゴースト」、柄に関する遺伝である「ズールー」、「パターンレス」は劣性遺伝であるため、両方の親に同じ種類の遺伝子が入っていないと子の見た目はノーマルになります。

ヘテロ遺伝子について

 ショップでニシアフを見た際に、モルフ欄に「het(ヘテロ)」と記載されているニシアフがいるかと思います。ヘテロで記載されたモルフは「見た目には現れていないけれど、そのモルフの遺伝子が入っている」ということを意味しています。例えば「ノーマルhetオレオ」の見た目は「ノーマル」と変わりませんが、オレオの遺伝子が入っているため、その子が繁殖した際に、相手のニシアフにもオレオの遺伝子が入っていた場合、オレオが生まれる可能性があるということになります。

モルフの計算方法について【実例を用いた計算】

 先ほどお話ししたように、劣性遺伝については両親が同じ遺伝子をもっている場合に子の見た目に表れる性質の遺伝子になります。例えば両親がオレオの場合、子は必ずオレオになりますが、一方で、オレオの親とノーマルhetオレオの親が両親の場合はどうなるでしょうか。今回は私の飼育しているニシアフ2匹の場合を想定してモルフの計算方法についてご紹介したいと思います。

例:♂「キャラメルオレオhetズールー」×♀「ノーマルhetオレオズールー」の場合

この2匹の子どものモルフを考える場合、①キャラメル、②オレオ、③ズールーの3つの遺伝に分けて考える必要があります。

①キャラメルに関する計算

例の場合、♂はキャラメルの遺伝子がありますが、♀はキャラメルの遺伝子がありません。キャラメルの遺伝子をAとした場合、♂はキャラメルであり両親からAの遺伝子をもらっているためAAと表し、♀はキャラメルの遺伝子が入っていないためaaと表します。その場合の2匹の子のモルフパターンは下図のようになります。

この場合は必ずAaとなり、2匹の子は必ず「hetキャラメル」となります。

②オレオに関する計算

例の場合でオレオの遺伝子をBとした場合、♂はオレオ(BB)であり、♀はhetオレオ(Bb)となります。その場合の2匹の子のモルフパターンは下図のようになります。

この場合、生まれた子は「オレオ(BB)」となる確率が1/2、「hetオレオ(Bb)」となる確率が1/2となります。

③ズールーに関する計算

例の場合でズールーの遺伝子をDとした場合、♂も♀もhetズールーであるため、Ddとなります。その場合の2匹の子のモルフパターンは下図のようになります。

この場合、生まれた子は1/4の確率で「ズールー(DD)」となります。そして、1/2の確率で「hetズールー(Dd)」、1/4の確率で「ズールーが全く入っていないノーマル(dd)」の子が生まれますが、ヘテロは表現として表れないため、「hetズールー(Dd)」と「ノーマル(dd)」の区別はつきません。つまりズールーの表現が出ていない子のうち、2/3は「hetズールー(Dd)」ですが、1/3は「ノーマル(dd)」であるということになり、ズールーの表現が出ていない子は2/3(66%)の確率でズールーの遺伝子が入っているということになるため、ズールーの表現の出ていない子については「66%hetズールー」と表現されます。よって、ズールーについては1/4の確率でズールー(DD)、3/4の確率で「66%hetズールー(Ddまたはdd)」となります。

④モルフ全体の計算

 それぞれのモルフの出現の確率について計算が終わりましたので、最後に①〜③に分けて考えたものをまとめます。まず、①キャラメルについては必ずhetキャラメルとなるため1通り、②オレオについては1/2の確率でオレオまたはhetオレオとなるため2通り、③ズールーについては細かく分けると1/4の確率でズールー、1/2の確率でhetズールー、1/4の確率でズールーの遺伝なしの3通りに分かれます。そのため、種類としては1通り×2通り×3通り=6通りのパターンが生じることになります。具体的には、

の6通りとなりますが、③のズールーの項目でお話したようにズールーについてはhetズールーとズールーの遺伝がない場合の特定ができないため、まとめて「66%hetズールー」として取り扱うことになります。よって、上図のとおりモルフの候補は最終的に4通りとなり、例として取り上げた2匹(♂キャラメルオレオhetズールー・♀ノーマルhetオレオズールー)の子どものモルフとしては、1/8の確率で「オレオズールーhetキャラメル」、3/8の確率で「オレオhetキャラメル66%hetズールー」、1/8の確率で「ズールーhetキャラメルオレオ」、3/8の確率で「ノーマルhetキャラメルオレオ66%hetズールー」となります。

⑤補足

 上記④では最初にhetズールーがある場合とズールーが入っていない場合に分けて計算しておりますが、最初から両者を「66%hetズールー」と取り扱った上で計算することもできます。ズールーについては③でお話したとおり、1/4の確率でズールー、3/4の確率で「66%hetズールー」となります。よって、

  • オレオズールーhetキャラメル (1×1/2×1/4=1/8の確率)
  • オレオhetキャラメル66%hetズールー (1×1/2×3/4=3/8の確率)
  • ズールーhetキャラメルオレオ     (1×1/2×1/4=1/8の確率)
  • ノーマルhetキャラメルオレオ66%hetズールー(1×1/2×3/4=3/8の確率)

と計算できます。

※( )内の計算は「①キャラメルに関する確率×②オレオに関する確率×③ズールーに関する確率=④子の全体的なモルフ」に関する確率を記載しています。

まとめ

 モルフの計算は複雑に見えますが、分けて考えるとわかりやすいです。将来的に繁殖も考えている方は現在すでに飼っているニシアフや、これから飼育しようと考えているニシアフの子どものモルフを一度計算してみると面白いと思います。

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